HOME > 過去のイベント紹介 > 董其昌の系譜展

生誕460年記念 董其昌の系譜展

会 期 2015年1月13日(火) 〜 1月18日(日)
AM10:00 ~ PM6:00(最終日PM5:00迄)
会 場 有楽町朝日ギャラリー
入場料 無料
主 催 謙慎書道会

生誕四六〇年 董其昌の系譜展

開催にあたり

 謙慎書道会は毎年新春に中国書画名品展を展開しております。本年は「董其昌の系譜展」と題して開催する運びとなりました。
董其昌(1535‐1636)は華亭の人で、字は玄宰、香光または思白と号し、皇太子の講官にあてられました。
 書を学ぶに当っては初め李ユウを範とし、後に米フツを学んで独自の妍美な書を創り上げました。董其昌が活躍した明代には祝允明(1460‐1526)、文徴明(1470‐1559)がおり、共に明末までロマンチシズムの運動を展開し華やかな時代となりました。
 董其昌の作風は初期には堅実な王羲之の書法に忠実でしたが、ある時から故意に規範的なものを意図するのではなく率意の中で自らを表現するようになり、妍美であっても凛とした精神の一徹さが見られます。その上、詩書画の鑑識に長じ、明末第一級の文人と称されました。その当時はケイトウ、米萬鍾、張瑞圖、それに董其昌が主に活躍し、注目されておりました。董其昌は書論『画禅室随筆』を発表していますが、その著は具体例や解説もあり、現代の我々が見ても理解しやすく当時の多くの人に親しまれました。
詩巻も詩冊も一見平淡なように見えながら、その根底には計り知れない書の本質がうかがえます。
 明王朝が滅んだ直後、清初において建国の英主である康熙帝がこの書を愛好するところとなったため、高級官僚は競って董其昌流を身につけることに熱中し、それらに触発された文人により、中国の書の長い歴史の中でも殊に盛んな時代となりました。彼の作品が歴史的に見てなぜ重要視されるのかと言いますと、厳密な思考の末に故意に躍動することを抑えたからで、思いつきで実行されたものではないからです。巻子で絖に書いた作品を見ますと、気負いがなく、ごく自然に素直な雰囲気で董其昌らしさが表れています。
 包世臣が董其昌の書を「凋疎」と評しています。この「凋疎」を西川寧先生が「私の尤も心ひかれる条件の一つ」と言っています。西川先生の董其昌批評を読んでみますと「少し古く包世臣の董評などは実に董書の究意の姿をよく把握している。中でも董の寒険古淡を『凋疎』と言い『気が怯えんで筆力は画中に書きてゐる』と述べている。この『凋疎』の味こそは私の尤も心ひかれる条件の一つであり、道咸の書家・批評家包世臣にとって尤も警戒すべきことであったに違いない」と言っています。
 つまり作意とは目的を持って何かを意識して書くことであり、率意とは心の赴くままに自然体で向かうため線は細みであっても深さと温かさがあり、包世臣の言う「凋疎」の精神が宿っていると言うことです。 以上、董其昌について述べさせていただきました。
 例年は、新年に謙慎書道会有山社書展と同時開催しておりました特別展ですが、今回に限り有山社書展とは別会場において中国書画名品展「董其昌の系譜」として展観することとなりました。日頃はなかなか拝見出来ないものも多く、どうぞ心ゆくまでゆっくりと御清鑑下さいますようご案内申し上げます。
 最後に、本展を開催するにあたり、ご理解、ご協力賜りました関係各位に深甚なる謝意を表する次第です。

   平成27年新春

謙慎書道会理事長 樽本 樹邨    

画像をクリックすると拡大画像が、また作者名をクリックするとその小伝がご覧になれます。)
     
董其昌   董其昌   董其昌   董其昌
             
     
董其昌   董其昌   董其昌   莫是龍
             
     
陳継儒   祁豸佳   セン   姜宸英
             
     
査士標   孫岳頒   査昇   シャク